現地からのレポート

期間限定

飯田城の知られざるストーリーを紐解く(11/29)催行報告

飯田城の知られざるストーリーを紐解く(11/29)
「期間限定」に関するレポート

令和21129()南信州ふるさと再発見の旅17回目として、「飯田城の知られざるストーリーを紐解く ~御用水と飯田城、城下町の謎~」が催行されました。今回は18名の方にご参加いただきました。参加された皆さん大変ありがとうございました!
今回のツアーは、飯田市美術博物館の元学芸員の櫻井さんにツアー全体のガイドをお願いしました。


飯田城の概要を説明


本丸直下にある水の手番所へ至る櫓跡の石垣


11代藩主堀親義の治世を讃える「観耕亭碑」


本丸と二の丸を隔てる堀跡の石垣


二の丸御門(八間門)の跡を確認


水の手御門の石垣(かつては飯田城の大手門とも


赤門(桜丸御門)はなぜ朱に塗られているのか解説

飯田城は明治維新後に散り壊され、遺構がほとんど残っていませんが、櫻井さんの案内で今でも残るいくつかの貴重な遺構を見学しました。また、飯田藩主だった脇坂氏や堀氏などとても高い文化性を持っていたこと、また江戸時代中後期に徳川将軍家の御側用人や老中など幕閣で活躍した堀氏の歴史など学びました。


烈女山口不二の墓(長源寺)


殿町入口にある「最古の道標」


福島家住宅(殿町の武家屋敷)


琴平神社(御用水跡)


福姫の墓(峯高寺)

飯田城下町は、橋南地区の13町、橋北地区の5町の併せて18町から構成されていましたが、今回のツアーでは橋南地区のみ散策しました。「烈女お不二」として知られる山口不二の墓のある長源寺、武家町であった「殿町」では、最古の道標や赤穂浪士四十七士の一人、赤埴源蔵の生誕地の碑や福島家住宅を見学しました。また四国徳島藩主の蜂須賀公の姫が飯田堀侯の奥方ゆかりの琴平神社や堀侯が前任地の烏山から勧請した烏山稲荷社も参拝しました。午前中の最後は峯高寺の福姫の墓に参拝しました。福姫は、関ヶ原の戦いの後に飯田城主になった小笠原秀政の正室で、織田信長と徳川家康を祖父に持つ稀有な血筋の姫で、二人の姫は、長女の万姫は阿波徳島藩主の蜂須賀家の正室に、また次女の千代姫は熊本藩主細川家の正室になりました。

本格的な和食が楽しめる地元で人気の「旬彩ふく家」にて和食を堪能しました。 


長久寺山門


飯田堀家墓所(長久寺)

脇坂家や堀家など飯田藩主の菩提寺である長久寺の高台にある飯田藩主堀家の墓所を参拝しました。7代藩主堀親長が父堀親蔵の墓所を整備し、併せて長久寺で荼毘に付された堀家の当主3人の記念碑などを整備したようです。墓所参拝の後は、隣接する大宮諏訪神社を参拝しましたが、楠正成を祀る湊川神社が境内にあるのには驚きました。ガイドの桜井さんによれば、幕末に幕府で重きをなし、京都見廻役頭にもなった堀親義が長州征伐の折に兵庫(神戸)の守備についた折、同地の湊川神社から勧請したそうで、楠正成の家紋「菊水」から飯田の銘酒「喜久水」が生まれたようです。


御用水(羽場地区)


御用水(羽場地区)


中央道を渡る御用水橋(羽場地区)

飯田城や城下町の御用水は松川から取水されており、今回羽場の昔を学ぶ会の方に取水口をご案内いただきました。取水口から取り入れた用水は、松川沿いの断崖をくり抜いた隧道部分がほとんどで、一部開渠になっていました。御用水は、中央道を横断する「御用水橋」を通り、羽場地区の区画整理事業により整備され、現在も地区の人に親しまれているようです。途中、元山白山神社の前に祀られている「日樹上人の墓」について羽場の昔を学ぶ会の方から説明がありました。

御用水をめぐった後は、羽場上河原にある「信陽堂」さんにて、ほのかに酒の香りがただよう「酒種まんじゅう」を賞味しました。信陽堂さんの酒種まんじゅうは、酒蒸まんじゅうなどとは違い、独自の製法で作るとのこと。是非、またお買い求めください!


龍門寺(八角堂)

龍門寺は、戦国の昔は、松尾小笠原氏の居城である松尾城内にあり、城主・小笠原信貴の戒名である「龍門寺殿」から龍門寺と寺名が付きました。数年前に八角堂が完成し、今回お寺の特別なお計らいで、堂内の倉澤興世氏作の観音様を拝観させていただきました。


八間門(木下家)


八間門(木下家)

かつて飯田城の二の丸御門「八間門」が、明治維新後、飯田藩主堀家の御典医であった木下家に払い下げられました。この門は、様式から安土・桃山時代の文禄・慶長年間に築かれたとされるが、もっと時代が遡るのではないかとの説もあるようです。今回、八間門を所有する木下家のご厚意で、明治初期に木下家で隠居生活を送った飯田藩主堀親義公ゆかりの貴重な部屋を見学させていただきました。和様折衷のお部屋で、堀親義公の書状や歴史上の著名な人物の書画が置かれていました。木下家のご当主からも貴重なお話を伺いました。

今回は、あまりにも身近にありながら、意外と知らない飯田城や城下町を専門のガイドさんの案内で探訪しました。ツアーで訪れる場所満載で、“おなか一杯”になってしまったかもしれません(すみません)が、意外とまたは全く初耳な内容も多く、とても興味深い歴史探訪ツアーになったのではないかと思います。参加された皆様、大変ありがとうございました。

これからも引き続き、飯田城や城下町など身近な歴史資源を巡るツアーを企画したいと思いますので、またご参加いただけるとうれしいです。

今回は、多くの方にご参加いただき大変ありがとうございました。

 Staff ゆっきー

期間限定一覧へ戻る

Page Top