会の活動

登山家・冒険家 大蔵喜福さんに聞く 『南ア最深部・エコロジー登山』クラウドファンディングへのご協力依頼

何で今、エコロジーなの?

人は自然の一部に過ぎないのに、人間の快適のためだけに自然を利用し、復元不可能にまで勝手な振舞いを続けてきました。クマやシカ、イノシシ、サル、キツネ、タヌキ・・・は自然を壊すことはしませんし、できません。木や草や花も同じです。鳥や虫小動物もそうです。微生物・菌から始まるすべての自然界の生き物が協力し合って自然を快適に保っているのです。ですから現在の温暖化やそれに伴う異常気象、甚大な自然災害は人の責任以外考えられません。人類が産業革命以来、快適のために二酸化炭素を排出し続けてきたからです。自然界で簡単には分解できない核のゴミなども地球上には不要なものの極致です。人の財産?と膨大な時間をつぎ込み続けても、自然界の正常な姿への再現は到底無理です。この先、人と自然との乖離感を埋めないと自然からのしっぺ返しが恐ろしいですね。
残された大切な大自然を、いかに守り後世に残していくか、今を生きる人々の責任です。
まだ間に合います。山を愛する者は‟人として自然界の生き物と同じようにふるまい、人と話せない自然界の動植物の代弁者として、見て・触って・感じ、人に伝える義務があります”自然をこのままにしておくと、人の傷跡からもっと多くの崩壊が始まります。温暖化がこのまま治まらないと、大変なことになります。自然界からの警鐘は‟コロナ”と異常気象が手始めです。続々とづづくであろう(と予測される)困難は、すでに人智の枠を超えてています。化石燃料を最小限にとどめ、動物と同じように歩き、人力での移動と最小限の糧のみで生きる方向性と考え方がこれからの地球人に必要なことだと思います。

エコ登山とは、なに?・・・・・

エコ登山(サスティナブル)の真髄は、山に人の施設を作らない、ゴミ、排泄物すべてを持ち帰るというシンプルなものです。人の黴菌は野生動物にどういった影響があるかまだまだ不明です。だから排泄物も持ち帰ります。水も人の排泄物で左右されます。  登山形態としてはテント場を借用し、春から秋までの期間テントとマット、スリーピングバッグ(※コロナ終息後)、炊事用具を設置し、必要な登山者が代わる代わるレンタルするというものです。これなら子供から高齢者まで、体への負担なく身軽に登山できるメリットがあります。持参するのは食糧と水、個人の登山ウエアのみです。トイレはブーステントで携帯トイレを使用します。持ち帰った排泄物は有機肥料として再利用を考えています。‟残すのは足跡だけ”です。さらに、化石燃料を使う車を最低でも電気自動車に換え、極力、登山口からは歩く努力をすることを推奨します。

登るルートの概略は・・・・

国道152号線の梨元停車場に車を置き、登山道として復活した森林鉄道の遺構を北叉渡まで10キロ歩き、聖岳には便ヶ島まで8キロ足を延ばし、さらに西沢渡の設置キャンプ場へ2キロ。それより6キロの聖岳を往復。光岳へは易老渡より面平に設置されたテント場まで約7キロ、さらに6キロの光岳を往復。双方とも歩く距離は上高地から槍の天辺に行くに等しいくらいの距離と中間でのテント泊ですから全く不安はないでしょう。

ファンドの寄付金は何に使いますか?・・・

私達の活動する南ア赤石山脈南部最深山域には、営業山小屋は一軒もありません。さらに人工物というのも殆どありません。あるのは大自然の静寂と生物多様性という財産です。ここで必要になるのは山小屋に変わり、レンタルする宿泊テントと生活用品です。一番費用がかさむのはこの宿泊生活装備です。次は登山道整備、荷揚げや荷下ろしの歩荷等の人件費です。

どのくらいの期間設置するのですか?

春から秋、4月ゴールデンウィークから11月中旬の約7か月です。設置テントは3人用が10張りです。基本は1~2人で使ってもらいます。期間終了後はすべて回収し、元の自然に戻します。大原生林などの自然に浸りたい登山者や、百名山にあと二つ「聖と光岳が残ってしまっている」という人には、是非お勧めです。災害が起きても歩いて行けるルート、途中のテント場確保が登るためのカギになり、そんなスタイルで登れるので時間はかかっても安心です。体力に自信のない人や不安な人はガイドや歩荷を依頼することもできます。

ファンド寄付金への見返りは何ですか?

現在、設定できた最初のルートは易老渡より面平キャンプ地を経由して易老岳、そして光岳を往復するルートです。キャンプ地の宿泊使用2泊券(1年から複数年有効)を金額に応じて規定分配布する予定です。5千円から1万円、3万円、5万円、10万円コースまで設定します。また、3万円以上のご寄付には券の使用時に、現地にて地産地消の食料品をコースに応じプレゼントします。’21年度は西澤渡にもキャンプ地を置き、光岳と同じように山小屋を使わないで聖岳に登れるようにします。さらに、大澤渡へのルートの開拓をし、大澤岳から赤石岳へのルート展開ができるようコースを選定する予定です。

見たことのない自然はまだあるのでしょうか⁉

南ア赤石山脈南部最深部の好きな人、百名山の聖岳3013m、光岳2591m、二百名山の上河内岳2803m、池口岳2392mコレクター、まだまだ知らていない沢、未踏の壁を目指す人にはうってつけのフィールドです。また冬季には多くの凍結した氷壁が現れます。コロナ禍で密にならない山域は、大きな体積を誇る大自然の南ア赤石山脈南部最深部を置いて他には見当たりません。展望は叶わなくてもライチョウの世界の南限、ハイマツの世界の南限・・・千年のスギやヒノキ、高山植物の見事な調和、漆黒の天には埋め尽くされた星々、星座に天の川、比すべき場所はありません・・・。

静かなだけが取り柄、景観も望めないといわれていますが?

最も山深く最も登り辛い地味な3000m峰聖岳、それに世界のライチョウとハイマツが南限である光岳のエリア、この山域はラストフロンティアともいえ、“我が国の風景を代表するに足りる自然の景観”日本僻地の代表的景観なのですが、頂上にまで迫る森林や、太古の原風景は、人間蘇生の聖域ともいうべき別世界であり、精霊の棲まう深山なのです。ですから森林を楽しむ登山というのも新鮮で、森林限界は2700m。800m前後の丘陵地帯から高山帯まで、森林の垂直分布は明瞭、様々な林相が見られ、林床には可憐な高山植物も見つけられます。高山帯に生きる動植物は氷河期の遺存種、ライチョウ、高山植物、氷河地形はカールに亀甲状土、二重山稜、ハイマツ、お花畑と多様な生態系が宝です。開けた景観は稜線まで望めないが、神秘に包まれた山々からは、大自然の発見と好奇心が一番の贈り物といえます。南ア赤石山脈信州側の素晴らしさは『多様な生態系の博物館である』に尽きます。

木はそんなに凄いのですか?

もとよりこの深山一帯は多量の降雨が良質な森を育み、山麓の広葉樹ブナ、ミズナラ、カツラ・・・から針葉樹へ、高度を上げるにつれサワラ、天然生ヒノキ、ネズコを混ぜ、さらにシラベ、トウヒ、コメツガなど原生林に至る。面平には樹齢千年以上のヒノキが点在し、いたるところ千年大木が目につきます。稜線には見事なハイマツ群落、高山植物の群生と相成す様は天上の美観。動物はカモシカ、クマをはじめとした哺乳類、鳥類は猛禽類を初めライチョウ、タケガラス、イワツバメなど百種以上、昆虫に高蝶もきわめて数が多い。遠山川の埋没林はなんと2千年以上の歴史を刻んでいます。

『この自然を守り活かすために、皆様のお力添えをぜひ頂戴したく、よろしくお願いいたします。』

登山家・冒険家 大蔵喜福さん

1951年長野県飯田市生まれ。登山家。ヨーロッパアルプスをはじめ、アメリカ大陸、ヒマラヤを登攀。国内の初登攀記録はもとよりチョモランマ北壁厳冬期最高到達点という記録も樹立。30年に渡りマッキンリー山頂の気象記録をとり「秩父宮記念山岳賞」を授賞。スキー、カヌー、パラグライダー、釣り、熱気球などのアウトドアスポーツも楽しむ。日本山岳会員。日本山岳ガイド連盟会員、海外辺境旅行アドバイザー。

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